ｱﾝﾌｫｹﾞﾀﾌﾞﾙ

春

　
…あれから、彼にフラれてからもう半年経つ。

彼、とは、タメの男子テニス部の人だった。あの告白の１ヶ月後から、一つ年下の男子テニスのマネージャーと付き合ってる。

…もうとっくに諦めてはいた。今さら大好きだったと叫んだ所で、もう彼には大切な人がいる。

部活後に二人が手を繋いで帰る後ろ姿を、何度見ただろう。二人の背中は、そんな私の事を、笑っているようにさえ感じた。

でも、彼も同じ文系クラスを選択していたのは知っていた。
正直、もしかしたら同じクラスかも…なんて気持ちも、全くなかったとは言えない。

諦めが悪い…。

気まずさと混ざってか、まだ心のどこかで胸がチクチクしていたのは事実だった。