001

4/13
前へ
/23ページ
次へ
抱きしめられた栄口。 あの後、その相手が巣山だってわかっても、俺のモヤモヤは消えなかった。 だって。 俺だって栄口のこと。 「……好きだったのに」 「は?」 怪訝そうな声にはっとして顔をあげると、泉が思いっきり顔をしかめてる。 しまった。 慌てて口を押さえてみるも、当たり前だけど無駄だった。 引き攣った顔を隠そうともせずに、一瞬にして俺から離れる泉。 「お、おまえっ、お、お俺のことをそんな目でっ」 「ちょっ、ちがっ、」 「うわー!!近寄んな!」 「泉っ!って、わわっ!」 わざとらしくおびえる泉を黙らせようと体を乗り出した俺は、自分の持っていたトンボに足をかけて勢いよく転んでしまった。 痛い。なんで俺ばっかこんな……。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加