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「あっ!」
突然、奈津美が嬉しいそうに声をあげた。
竜哉が来たのだと分かった。
でも振り返ることができなかった。
どう反応すればいいのか分からなかったから。
奈津美の反応を見れば分かる。
竜哉がこちらに向かってきていることが。
ドキンドキン
速まる鼓動。
「おはよう、木村」
奈津美の言葉に「おはよ」と短く返す。
竜哉が私の隣に立っているのが分かる。
ポンッと急に私の頭の上に竜哉の大きな手を感じた。
私はドキドキを堪えながらゆっくりと竜哉の方を見た。
私と目が合うと「おはよう」と優しく微笑む。
私もとりあえず「おはよう」と返す。
昨日のことが夢じゃないと実感できた。
「あ~見てらんない。席に戻るわ」
私達二人のやり取りを見て茶化すように言って自分の席に戻ってしまった。
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