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公園で俺が仕事をサボって一服していると、幼い少女が俺の目の前でペロペロキャンディーをペロペロしながら、立っていた。
「ペロペロ!ペロペロ!」
それを見ながら、俺は自分の少年時代の事を思い出していた。泣きながら駄々をこねて買ってもらったペロペロキャンディーは、いつも最後まで舐め終える事が出来なかった。それでもまた俺は、駄々をこねてペロペロキャンディーを買ってもらっていた。
「ペロペロ!ペロペロ!」
しかし、目の前にいる少女は、もう少しでペロペロキャンディーを舐め終えようとしている。俺には、味わえなかったペロペロキャンディーを舐め終えると言う達成感。ペロペロキャンディーを制覇したと言う到達感。それはいったい、何れ程の満足感なんだろうか?
「ペロペロ!ペロペロ!」
間もなく舐め終わろうとしている少女に我慢出来ず。俺は、少女の今の気持ちを聞かずにはいられなかった。
「旨いかい?」
「うん!」
だろうな。少女は、満面の笑みで答えた。あの頃の俺とは、あまりにもレベルが違い過ぎる。
「ペロペロ!ペロペロ!」
「スッゴく甘いよ!お兄ちゃんの命!」
「えっ!?」
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