58人が本棚に入れています
本棚に追加
木漏れ日が本当に木漏れてるかなんて、誰にも分からない。
「ママ!」
「なぁに?」
「見て!」
「ん?」
「木漏れ日!」
「あら!本当っ!」
いや、それは木漏れ日じゃない。単なる漏れ日だ。少年が母親に己の発見を勇ましく教える姿は、実に微笑ましい。でも、真実ではない現象を親子で喜び戯れるのは、どうだろう?
「な、何をするの!」
「マ…マ…苦しい……よ……。」
「いやぁぁぁ!やめてぇぇぇ!」
「お母さん?あれは、木漏れ日じゃないんです。」
「手を放して!!」
「違うんですよ。木漏れ日なんかじゃないんですよ。」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「グサっ!!」
「ぶはっ!!な……なるほど……時に冷凍イカは……凶器になる………勉強に……なりま」
「ドサっ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ。」
「ママー!!」
「大丈夫よ!大丈夫!もう大丈夫だからね!」
実に美しい光景だ。母親と息子が、安堵に包まれお互いに抱き合う。これぞ究極の美だ。ただ…なぜ冷凍イカを夕飯に?
「マ…マ…苦しい……よ……。」
「奥さん?なぜ、冷凍物を?なぜ、漁に出ないのです?」
「何なのよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
最初のコメントを投稿しよう!