sunbeam

2/2
前へ
/290ページ
次へ
木漏れ日が本当に木漏れてるかなんて、誰にも分からない。   「ママ!」 「なぁに?」 「見て!」 「ん?」 「木漏れ日!」 「あら!本当っ!」   いや、それは木漏れ日じゃない。単なる漏れ日だ。少年が母親に己の発見を勇ましく教える姿は、実に微笑ましい。でも、真実ではない現象を親子で喜び戯れるのは、どうだろう?   「な、何をするの!」 「マ…マ…苦しい……よ……。」 「いやぁぁぁ!やめてぇぇぇ!」 「お母さん?あれは、木漏れ日じゃないんです。」 「手を放して!!」 「違うんですよ。木漏れ日なんかじゃないんですよ。」 「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」   「グサっ!!」   「ぶはっ!!な……なるほど……時に冷凍イカは……凶器になる………勉強に……なりま」   「ドサっ!!」   「はぁ、はぁ、はぁ。」 「ママー!!」 「大丈夫よ!大丈夫!もう大丈夫だからね!」           実に美しい光景だ。母親と息子が、安堵に包まれお互いに抱き合う。これぞ究極の美だ。ただ…なぜ冷凍イカを夕飯に?   「マ…マ…苦しい……よ……。」 「奥さん?なぜ、冷凍物を?なぜ、漁に出ないのです?」 「何なのよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加