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差出人不明の小包の中には、小さなキューブが入っていた。
「何なんだ?」
俺は、その真っ黒で小さなキューブを手に取り、耳元で振ってみた。微かだが中に何か入っている感覚があった。
「でもこれって、どうやって開けるんだ?」
そう、開け方がまったく分からない。ただただ真っ黒で、ただただ小さな、ただただキューブ。俺の興味は、この時点で差出人やキューブよりも、中身に湧いていた。
「何が入ってるんだ?」
この日から、俺とキューブの戦いの日々が始まった。まず、高い場所からキューブを落としてみた。でも、キューブは壊れるどころか傷ひとつない。車で轢いても、煮ても焼いても凍らしても、キューブは相変わらず届いた日の原型を留めていた。考えられる方法は、とにかく実行してみた。だか、成果はゼロ。
「ん?朝か?」
あれから50年。いつものように、わしとキューブの戦いの夜が明けた。
「さてと、今日こそ………!?何と言う事じゃ!?」
今まで、あらゆる方法を試しても開かなかったキューブが開いとる!?わしは、中身を覗き込み、入っていた紙切れを手に取り、文字を読んだ。
「貴殿の寿命は本日…尽す!?」
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