shark

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「すいません。」 「はい。」 「この辺に、泣ける話をする鮫がいると聞いて来たのですが。ご存知ですか?」 「ああ、泣ける話を……えっ!?鮫!?」 「はい。鮫、シャークです。」 「私です!」 「いやいや、田舎者だと思ってバカにしてもらっては困る。主に蟹だけを捕って生計を立てている事を愚弄されては侮るなかれ!」 「バカにも、見下しても、おっちょこちょいだとも思っていません。ただ、ちょっと顔のホクロが蟹座っぽいなと思っただけです。」 「では、本当にあなたが泣ける話をする鮫なのですね!」 「左様!」 「しかし、なぜ人間なのでしょう?私は、確かに蟹達から泣ける話をする鮫が絶対にいると聞いたのです。」 「昼の12時~1時までの1時間は、昼休みを設けて人間になっているだけです。」 「そうでしたか!おや?既に時計の針が1時を回っていますよ?」 「えっ?」 「嘘を付いたのですか?」 「嘘は付くものです!しかし、僕は嘘など付いていません!シュモクザメに誓って!」 「では、なぜ鮫にならないのですか?」 「今日は、木曜日ですか?」 「はい。」 「木曜日は定休日なので、また明日来て下さい。」 「いえ、今日の夜行列車で帰ります。」
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