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「マジで飼うのね…(胡蝶ん家行ったらマジ気を付けよう………)」
ペシミストはにっこり笑い、
「大事にしてやってくれよ?」
とさも自分が親だったような口ぶりだ。
「──ところで、柚希ちゃんはこれから家に帰るんですのよね?」
虎は疲れたようで眠りについたらしく、そこで胡蝶は口を開いた。
「あぁ…鞄は置いてきちまったけど…」
「ここにありますわ」
胡蝶は草の陰から、鞄を取り出した。
…ふたつ。
「?」
ペシミストは分からないので、相変わらず首を傾げる。
「……なんでふたつなんだよ」
「私も帰ります♪」
「は?」
胡蝶の思いがけない台詞に、俺はアホヅラで胡蝶を見やる。
「柚希ちゃんの看病してきます、と言ってきたので大丈夫ですわ」
その言葉にペシミストは何を思ったか、
「何なに?ユズキ、具合悪いのか?」
と子供の様な発言をする。
「ヅラが取れてしまって…柚希ちゃんは教室から逃げてきたんです」
胡蝶は真面目に言った…がしかし、ペシミストは異世界の人間…。
「キョーシツって奴に追われてたのか!?」
「いや違うし」「違いますわ」
DOUBLE冷静ツッコミ炸裂。
二人でツッコミを入れた後、何かが近付いてくる気配を感じた。
…ちょうど、ペシミストが落ちてきた時の、あの感じ。
「──…何か来るよ」
ペシミストが言った。やはり召喚師なら、そういうのが分かるんだろう。
ごくりと唾を呑み込み、緊張が走る。
ギュッと胡蝶が俺の手を握った。
───…〝 〟
突然、ぼぅん!と白い煙が辺りに広がる。それはちょうど、何かが変身した時のような…「───!?」
「…誰だ!」
ペシミストが叫んだ。
白い煙はゆっくりと消え…
そこにいたのは────…
プロローグ
了
NEXT-1章 私はおれは、君が好き。
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