9人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
私に与えられたお仕事は、ある女の子とお話しすることだった。
初めは、友達と二人で彼女を見ていた。
引っ掛かった言葉はあったけれど。
「相談にのる以上は、私もユクも、カウンセラー。安心してね」
否定したかった。
私はカウンセラーなんかじゃない。
けれど、クライアントの前で言えるはずもなかった。
結局、私は何度も拒んだ『カウンセラー』になってしまった。
そのことにより、もともと責任感が強い私は、全力で彼女のストレス緩和に取り組まなければならなくなった。
もちろん、ここでも友達に悪気はない。
クライアントを安心させるための言葉だったのだから。
私より年下の彼女は、新しい妹のようで、とても可愛かった。
彼女も、私を慕ってくれた。
それは素直に嬉しかった。
しかしいつの間にか、ふと気付けば、私はほとんど一人で彼女と接するようになっていた。
それは、自然なこと。
友達は、他にも多くのクライアントを抱えていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!