相談員

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私に与えられたお仕事は、ある女の子とお話しすることだった。 初めは、友達と二人で彼女を見ていた。 引っ掛かった言葉はあったけれど。 「相談にのる以上は、私もユクも、カウンセラー。安心してね」 否定したかった。 私はカウンセラーなんかじゃない。 けれど、クライアントの前で言えるはずもなかった。 結局、私は何度も拒んだ『カウンセラー』になってしまった。 そのことにより、もともと責任感が強い私は、全力で彼女のストレス緩和に取り組まなければならなくなった。 もちろん、ここでも友達に悪気はない。 クライアントを安心させるための言葉だったのだから。 私より年下の彼女は、新しい妹のようで、とても可愛かった。 彼女も、私を慕ってくれた。 それは素直に嬉しかった。 しかしいつの間にか、ふと気付けば、私はほとんど一人で彼女と接するようになっていた。 それは、自然なこと。 友達は、他にも多くのクライアントを抱えていたのだから。
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