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しかし、全く眠れない。
眠ろうと思えば思うほど、目が冴えた。
何時間か横になってはいたものの、うたた寝すらも、できなかった。
彼女のダメージもさることながら、友達の安否が気になった。
「クライアントに何かあれば、自分も死ぬ」
と、友達は残していたから。
この時点で、私の恋人は何も知らず、ただ、私を信じてくれていた。
私は、一睡もできなかったことだけを告げた。
何故約束を破っていることを、彼を裏切っていることを言わなかったか。
この時私には、裏切りの自覚すらなかったからだ。
私は、自分は無理をしていないと、まだ思い込んでいた。
警鐘は確かに鳴った。
「やばい」
けれどそれは、
「このままではやばい」
ということ。
私はまだ、ギリギリではあるが、約束を守れていると思っていた。
思い込んでいた。
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