裏切りの自覚

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「何処の世界に二日も寝てない女連れ回そうって奴がいるよ」 デート順延の理由は、雨天のためだけではなかった。 私の体調を考慮してのこと。 だというのに、その体調は、約束を破り、自分で崩したものだった。 裏切り。 この時初めて、私は自分のしたことに気がついた。 私は、裏切ったのだ。彼の信頼を。 涙が、嗚咽が、止まらなかった。 一番大切だったもの。 最愛の人との未来。 それを、見失った。 目の前のこと、目先の欲求ばかりに捉われて、本当に大切にすべきものを見失った。 そして、一番愛する人を傷つけ、失い、また同時に、彼の人生すら狂わせてしまった。 結婚するはずだったのに。 親同士の対面も済ませ、具体的な時期まで決めていたのに。 全てが、水泡に帰した。
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