長袖

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長袖

触れるほど近くにいるのに   触れるのが怖くて   触れられるのは   もっと、怖くて   どこか身構えてしまったあたし   顔をまともにみれないから   メガネを外して逢いにゆく   バックは必ず前に持って   あなたとの距離保ってた   肌がぶつかりあなたの熱を感じるのが怖くて   長袖ばかり着てたっけ   あなたが貸してくれたTシャツ   あたしには大きすぎて   長袖のワンピースみたい   おかしくて   ふたりで笑いあったね   あなたのことを   どうして怖いと思ったのか   夏祭りのなか   人込みが苦手なあたしは   人とぶつかり   熱気にあてられよろめく   そんなあたしを   あなたの腕は、守ってくれた   あなたの力強さに   あたしの熱があがり   恥ずかしさにうつむいた   手なんかつなげるハズもなく   離れるのも寂しくて   あなたの袖口をひっぱる   いつか…   あたしが強くなれたら   手をつないで歩きたい   自分の荷物は自分で持ち   あいた手で   あなたの隣を歩きたい   そんな夢をみならがら   今日もあたしは袖口をひっぱっていく   いつか自然に触れ合える   その日まで…
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