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ああ、これは夢だ。
身体の輪郭は曖昧で霧の中を俺はフラフラとさまよっている。
フラフラ。ふわふわ。
手を伸ばした先に誰かいる。誰?女の子だといいな。出来れば年上。
白い肌。
透き通るみたいな。
誰?
長い黒髪が揺れる。
白い肌に乗った赤い唇。
誰?女の子?
すげー可愛い。
こっち向いてよ。
こっち来て。
夢ん中だからって襲いかかったりしないよ。おいら童貞だから。ははっ!笑えん!
手を伸ばせば触れそうなのに、触れられない。もどかしい。あとちょっと。あと…
「真昼っ!!!!!」
「ギァアアアアアアっしゃあー!ビビったーーーー!!!!」
ドカーン。西野家から爆音が響いて俺ん部屋のドアが開かれる。
朝一から血相変えた母ちゃんの乱入によって目が覚めた。幸せ終了。淫夢にすらならんかったわ。ははっ!最低。
「大変真昼!真昼大変!」
ずかずか俺ん部屋入ってくるなり布団バッサアー剥ぎ取って。やべ朝起ちバレる。
「玄関に!真昼玄関に!」
んだよもー朝から。玄関に赤西君でも居たか母ちゃん。妄想だよ。あっ俺の妄想癖母ちゃん譲りか。っつか唾飛ばさないで。朝からキツい。
「玄関!」
「はいはい、朝刊に赤西君でも載ってましたですか」
「ちげー馬鹿!!」
うわ何うざー。口悪い母ちゃんとか引くわー。
騒ぎまくる母ちゃん後目に起きてしまったのは仕方ないのでノロノロと着替え始める。
俺らん学校はあんま風紀うるさくない。髪型もみんな結構フリーダムな感じ。だから俺は安心してこの口悪い母ちゃん譲りの栗毛を染める事なく登校出来る。
「ちょ、真昼玄関に!」
ちょ、うるさい母ちゃん。今日カッターシャツん中何着てこ。ヴィヴィアンのリップT着てこかな。
「イケメンが!」
そうイケメン。そーだなあ。ヴィヴィアンとかあんま女子ウケしなさそう。ははっ!知ってる!ディーゼルとかドルガバみたいなイケメンブランドさらーっと着こなすお兄様がいいんでしょ!キングみてーな!
「玄関にすんごいイケメンいる!!」
…………。
「真昼の事呼んでる!!紹介しなさいよ!」
玄関に…?
すんごいイケメン…?
いる…?
「まーひー!!ガッコ行こぉ~」
窓ん下。
朝から気だるげにテンション高いとゆう偉業を成すキングが二階にある俺ん部屋向かって騒いでいる。
ちょ、近所迷惑だし!隣のおばちゃん怖いのに!と思ったらお隣の高橋のおばちゃんキング見て頬染めてるし。
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