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「どうもぉ、お邪魔しますう」
「いえいえいえ!どーぞどーぞどーぞ!紅茶でいい?コーヒーがいい?!それともココア?!」
あっじゃあココアで。じゃないでしょキング。にっこり色っぺえキングの笑顔。これなんか企んでいるキングの顔。最近気付いた。
西野家の食卓。いつも通りの顔触れ。
母ちゃん。
妹。
妹。
妹。
俺。
……………んでキング。
朝からこの男は後光が射している。イケメンライト。つか母ちゃんの手元にはGODIVAのココア。おいそんな高級品西野家で初めてお目にかかったし俺。母ちゃん隠してたな。
ふわふわしたキングの髪。
妹達は三者三様キングを凝視している。朝。夕。夜。三人は三つ子だ。
「寝屋川くんは真昼のお友達?」
「何食べたらそんな顔ちっさくなるんですか?」
「ハーフ?」
「彼女さん居るんですか?」
「ちょ、やめーーー!!!寝屋川キングダムはお前らにはまだ早いし!」
「まあまあマヒ」
「キングも!呑気にココア啜ってないでガッコ行かなきゃ!」
「あぇ、もうそんな時間?ココア御馳走さまでした、美味かったっす」
キングがにっこり微笑むと西野家の女共から悲鳴が上がる。西野家でこんな悲鳴、小栗旬と山田優の熱愛報道以来。
まだ騒がしい西野家を後に、俺達は学校へ向かう。キングはまだ腹を抱えて爆笑している。
「はぁー、腹痛えー」
「……」
「マジウケるしマヒんとこの一家」
人んちの家族で爆笑しないでキング。
「俺お土産っつってピノ貰っちった」
「ちょ、それ俺のピノだし」
「おはよー寝屋川くん!」
「おはよイチ」
「寝屋川くんおはよう!」
朝から絶え間ないギャル達の声。爽やかに、愛らしく。
それに対してキングは、おー、とか、あー、とか、目もくれずすげーどーでもよさそーな対処。多分全力でダルいんだな。キングはそんなギャル達の挨拶より西野家のピノっつか俺のピノに夢中。ふふん優越感。あれっ何だこの物悲しい優越感。
「おはよう真昼」
ドキーン!とうとう俺にも!誰誰誰!?ヤバいどうしよこれぜってー声ひっくり返るし、
「お、おひゃよう」
「真昼顔気持ち悪い」
「ちくしょーみっちゃんだし!」
「うえーすミツ」
「おはよう壱、今日も無駄にフェロモン垂れ流れてるな」
「俺には気持ち悪いっつったのに!?」
太陽に反射する黒髪。怜悧な視線。皺一つないカッターシャツ。磨かれた銀縁の眼鏡。ほとばしるサディズム。中宮三成。
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