7人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はその瞬間、なんかヒヤッとなって、冷水を浴びせられたみたいになって、一瞬で全身を稲妻が駆け抜けたみたいんなって、なぜかその場にフリーズした。
そんくらいみっちゃんの視線は怜悧だった。
俺は、道を聞こうと声かけた相手がアッチ系のひとだったーみたいな情けない顔をしていたと思う。
そしたらみっちゃんが、初めて口を開いた。
「その髪、地毛?」
えっ俺の質問カタルシス?って一瞬思ったけど、冷たい視線とは裏腹、みっちゃんは独特の甘くてでも落ち着いてる、イケメン攻略する女子ゲームの声優に出て来そうな声だったので、その甘さに焦ってそんなこと突っ込む余裕なんてなかった。
俺は母ちゃんゆずりの栗色の、アシメにした髪をワッシャワシャかき回して、うんっ!地毛!ノーブリーチです!っつって厳しい生活指導員くぐり抜けるみたいにおどけてみせた。
そしたらみっちゃん、自分から聞いてきたくせに、一言、ほんとどうでもよさそーに、
「…へぇ」
っつってご丁寧に溜め息までつけて前へ向き直った。
えっ!なにこの人!こわい!!父ちゃん母ちゃん!俺この高校でやってけるかな!
最初のコメントを投稿しよう!