寝屋川キングダム

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カツカツカツ。すらりと伸びた足が闊歩する。細いピンヒール。 歩く度サラサラ揺れるチョコブラウンの髪。あ、これがゆる巻きか。ほんとだ、ゆるく巻いてある。っつかネーミングまんまだなおい。 大きな瞳に連なる長い睫。 瞬く度フワフワって音しそうなくらい。まるで初夏の畦道に誘惑を携えて揺れる芥子みたいに。 後光っつかこんな教壇と席離れてるのにいい匂いする気がする。きっとこれがオーラってやつなのだろう。 「担任の島だ、宜しくな。」 俺が今まで見てきた女の子たちとは何もかもが違う。 「うちは三年間クラス変えもないし担任も同じだから」 どこが違うなんて上手く言えないけど、確実に俺ん中では違う。なんてゆうか、目が離せなくて心臓ワッシーーって掴まれたみたいで、 「まあ三年も一緒にいる事んなんだから、仲良くしような!なんか質問あるやつ居る?」 振り解けないちょっぴり甘美な罠にハマったみたいな、もしかしたらこれが一目惚れってやつ? 「はーい質問ー、センセイは彼氏は居ますか」 ちょ、キングやめーーー!!!!何聞いてんだセクシャルハラスメントだ馬鹿!さては早速島センセイを狙っているな?!寝屋川キングダムに参入させる気かチクショー!! 「はははは!毎年一人は居るな、それ聞くやつ。まあ答えはノーだが…」 まじでええええ!!!!!!!! キングナイス!さすが!イケメンは違… 「惚れた男は居るかな。片思い中の島センセイをみんな全力で応援するように」 グッバイ、マイラブ。 そして出会って数分で失恋な、俺。 島センセイはそのあと色々、学校行事の事とか話してくれてたけど、ショッキングすぎてあんま覚えてない。 キングに頭スパーン叩かれてふと我に返った時、なぜかキングと三成くんとで教科書を貰うべく第二理科室へ移動中だった。 「真剣に痛え!」 「つかマヒぼーっとし過ぎ!!」 「島先生に悩殺されたか真昼」 あっ三成くんが初めて俺の名前を。うわーい。じゃなくて! 「の、悩殺されるでしょあれは!」 「まあ期待以上ではあったな」 「え、ミツああいう系好きなん?何人かいるよ?回そうか?」 出たな寝屋川キングダム!寝屋川キングダムには何人女子が控えてるんだ。教えなくていいからああいう系とやらを紹介して下さい。 新しい教科書。新しい机。新しい連れ。そしてちょっぴり淡い初恋。そして失恋………早ぇ。
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