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「……おお、すげぇな」
「でしょでしょー?」
オンラインネットゲーム『トリプル』のゲーム内、レトロな洋館が建ち並ぶ初心者の街『マークタウン』と呼ばれる場所で感嘆とした言葉と得意げな言葉をロールさせた二人のPCがいた。
二人の内の一人は、青い袴に紅蓮の炎が燃え盛るような模様が入った服の少し渋い顔をし、黒の長髪を後ろで括り上げたポニーテール。
PC名を『緋室』と名乗っている男キャラ、つまりは和山昇のキャラだ。
一緒にいるもう一人は、飾りっ気のないロングの黒髪に黒い縁の眼鏡をかけた、白と薄青のセーラー服みたいなモノを着た十五歳ぐらいの少女。
『ライチ』と名乗る、川下奈々の使用キャラだった。
画面下の方には字幕のようにキャラクターのセリフが浮き上がり、更には音声までもがついている。
音声はまんまリアルの人間が喋る声で、言葉もそのままキャラのセリフとダイレクトリンクされてある、漢字変換も適切なモノでされている高性能ぶり。
脳内電子を完全にゲームと直結させているそれには、流石の緋室も感嘆せざるを得なかった。
グラフィックでも、現実とほとんど変わらないその緻密さに、緋室は『タウン』を見渡して感嘆の言葉しか吐き出していない。
そんなふうにして初めてのネットゲームを体験している緋室は、タウンの中を見ながら簡単に体を動かしていると、妙な歓声が遠くから聞こえてきた。
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