電脳世界――VW――

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「行ってみよぅっ!」  そう言ってライチが長髪を翻すと、本人の快諾も無しに緋室の手首を握って走り出す。  少し行くと人だかりにぶつかったが、ライチはそれをすり抜けて前へ。  引きずられている緋室も、必然的に他のPCの前へと踊り出た。  そして、緋室達の瞳に移ったのは、二体のPCが乱舞飛翔し、一体の化け物を撃滅する姿だった。  PCであるはずの二体はどちらも白いフードを被ったロングコートで全身を覆い隠し、外見としての特徴を見受けられない。  その二体が飛翔する中心には化け物の牛人。  西洋でいうところのケンタウロスのような体躯に、鹿のような歪んだ角が生え、しかも四本の腕と四本の足がタウンに建築されている様々な物を破砕する。  が、それらの暴力が空中を駆け抜ける純白のローブにかすることもなく、逆に、そのPC達から放たれる光の線は一つも外れることなく牛人に突き刺さった。 「……なんだ、これは?」  思わず、緋室はそう呟く。  その光景はあまりにもリアルで、そして、あまりにも凄まじいモノだったからだ。
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