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燦々と太陽の恩恵を余すことなく浴び続ける大草原。
しなびやかに波を思わせる長い葦の雑草と、サファイアよりも淡いブルーを投影する大空。
その風景の中には、二人の人物が無言で対峙していた。
だが、やがて片方の男が静かにその唇を綻ばせる。
「……会いたかったぜ。《最凶最悪の敵》」
紡がれた言霊は、柳のように涼し気に。
しかし、それ以上の寒気を浸過させるほどの感情が込められていた。
「ふーん、そう? 僕は、別に会いたくなかったかな。《核激の銀》さん?」
だが、《最凶最悪の敵》と呼ばれた男は至極どうでもよさそうに受け答え。
普段は不可視のはずの長刀、《破滅の王刃》を取り出す。
「まぁでも、いいよ。何度やったって、僕が負けるはずないし」
「……見くびるなよ、俺はもう、あの時とは違う。この世界の“答”を見つけた今なら、テメェを殺せる!!」
「……仕方ないなぁ」
《核激の銀》と呼ばれた男は、激情のままに声を荒げ、己の分身でもある武器を取り出す。
そして、
「“絶望という破滅を味あわせてやるよ”」
「“破滅という絶望を味あわせてあげる”」
二人は、
「ルギアァ!!」
「バロウゥ!!」
己が世界を、作り上げた。
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