電脳世界――VW――

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「トリプルって、あのネトゲ?」 「そ、あのネトゲ!」  和山昇がめんどくさそうに聞き返すと、友人である川下奈々が喜々した声で相槌を返した。  本来立ち入り禁止の屋上の日陰にいる二人は今、コンビニ弁当を抱えて和気あいあいと談笑を…… 「つまんなそうだな」 「そんなことないって! 一緒にやろうよぅ!」 「やだね、このオタク」 「私は腐女子、で、す!」  ……多分しているのでしょう。  二人は同じクラスの、所謂サボリ組。  サボる理由は大きくことなっているが、それでも二人は入学当時から気の合う仲。  今年から高校二年生となった気楽なポジションの二人はモロ私服で屋上にいりびだっていた。  昇の外見は細いツリ眼にすいたように跳ねた髪型で、ちょっとした強面。  服装も軽い春服とダボい迷彩柄のズボン。  奈々はワンピースにワイシャツという奇怪な格好で、二人して授業をサボっていた。 「なんで急に俺なんかを誘うんだよ」  嫌そうに対応する昇とは違って、奈々はかなり嬉しそうに喋る。 「私も昨日初めてね、すっごく楽しかったから和山くんにもどうかと思って」 「いらん世話だ」 「あれで和山とできたら絶対楽しいと思うし、いい暇潰しになるよ」  嫌々に断っているの昇に対して、奈々はもうすでに『トリプル』をすることを前提に話を始めていた。
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