電脳世界――VW――

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 放課後、拉致も同然に昇は『トリプル』専門のゲームセンターに連れて来られていた。  勿論、奈々の手によって。  引きずられるようにして入ったゲームセンターはかなり広く、様々な部屋がその広地に使われているにも関わらず、それでも体育館以上の広さを持つカウンター広場が嫌でも目に入った。  その近くにはゲームの中でのパーティ募集やクエストのクリア情報を求める電子掲示板がズラリと並び、電子化された今の時代に産まれた昇といっても、目が痛くなる光景だった。 「ささ、登録しにいっきましょぅっ!」 「ふざけんなぁあっ!」  昇が有り得ないといった表情で叫ぶと、なぜか奈々は誇らしげに笑顔で叫ぶ。  抵抗しようにも後ろから羽交い締めをされているので、色々と女な部分が当たっていて昇はほとんど無抵抗でカウンター前にまで連れていかれた。  昇の腐れた女友達は、奈々だけ。  というよりも友達自体が昇には他にいない。  腐れていても友達は友達。  一緒にこうやってゲームをするのもたまには悪くはないか、と思い昇は心中でのみ苦笑いを作った。
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