電脳世界――VW――

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 奈々や店員のオススメカスタマイズを聞きつつも昇は適当にPCを作成。  性別は男で髪は黒のポニー、顔は少しだけ渋くして格好良く、青い袴に紅蓮の炎が這い上がるような模様。  和風的な外見に合わせて使用武器のチョイスは普通の日本刀。  レベルアップの時に特定のステータスを上げれる成長率の選択は奈々のオススメ通り攻撃力と俊敏を選び、あとはPC名の入力だけとなった。 「『あ』を八個入力しようかな」 「そんな勿体ないことしないでよ」  現代のメンドクサがりっ子のようなことを昇が呟くと、奈々は結構な焦り声でそれを止めた。 「適当に入力するつもりなら、私が勝手に入れてもいい?」 「勝手にどうぞ」  投げやりに昇が応えると奈々は喜々した声でなにかを呟いて、そして叫びながら店員に名前を告げる。  店員がパソコンにそれを打ち込むと、映し出したのは『氷室』という二文字だった。 「……ま、悪くない名前だな」 「でしょー?」  昇の褒め言葉に、奈々はあまり可愛くない笑窪付きの笑顔を見せた。  取りあえずそれは見ずに、昇は店員に決定の旨を伝える。  最終確認の画面に移行されるかと思われたが、そこに映し出された言葉は「ERROR」という横文字だった。 「どゆこと?」
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