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銀杏
手紙を捨てました
宛名もなく
たいした意味もなく
あまった白い
私を綴った紙を
捨てました
この気持ちの大きさは
きっとどれにも計れない
贅沢を言うなら
この重さに
押し潰されてほしい
伝える言葉なんて少なくて
ただやりきれなくなって
せつなくもなれない私を
あなたがひきずってゆく
その仕草すべてが
愛おしく
わたしのなかで
あなたは完璧になってゆく
もっと素直に愛せたなら
迷うこともなかった
あなたを困らせることもなかった
もっと優しく愛せたなら
あなたも
そうしてくれたでしょうか
わたしはただ
在るだけで
時間を経てゆくたび
乏しくなっていくのです
たとえばもっと
臆病だったなら
目をあわせずに
済んだのに
本当は何もないのです
空っぽのわたしは
何かで満たすだけのもの
人工的な電波には
想いはのらないようなのです
思えば
書いた言葉も
ただの気まぐれで
あなたへの愛なんか
なかったようで
できることなら
今空に降る箒星
その光へ
手をのばしたい
暗く淀んだなかで
あなたの輝きに沈んでいたい
もう一度だけ
筆をとる
堕ちた銀杏が
泣く前に
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