2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
帰宅した少年、家の表札には桑野とある。
玄関のドアをあけて、ただいまと言うまえに母親の怒鳴り声が響いた。
「コラァ、あんたまた何処に行っていたの?」
ぶたれるのではないかと体をこわ張らせる。
稲妻の如く少年に降り注ぐ母親の怒鳴り声。
「ごめんなさぁい」
元気なく、謝る。
「あんたはいっつもいっつも…、あぁ、もう服も砂まみれ」
母親が口を開く度に体をこわ張らせ、少し泣きそうになる。
「ははははは、まぁ、いいじゃないか、かぁさんもそのくらいにして」
ダイニングからでてきた父親が母親の後ろから優しそうな表情で暖かく迎えてくれる。
「おかえり、俊平、ご飯できてるぞ」
頭をくしゅくしゅと撫で、優しく迎える、しょんぼりとしながら靴をぬぎ、ダイニングキッチンへ歩きだす。
「もぅ、すぐ甘やかす」
ブスッとしながら腕を組み二人を見送る。
食卓には、オムライスとサラダ、味噌汁…。
それぞれ三つづつ並んでいる。
三人は食卓に付き…。
「いただきます」
食べ始める。
「かぁさん、今日も美味しいよ💕」
髪は短くぼさぼさ、四角いレンズの眼鏡をかけ、優しそうな人相の父親
「そうね」
ツンとした表情で返事をかえす。
スラッとした体型にショートカットなサラサラとした髪。気の強そうな顔立ち、美人顔の母親。
若い夫婦だ三十前半といったところか?
「…。」
しょぼくれた顔でモグモグ食べる、俊平。
いつも元気いっぱいで、のんびり屋、性格は父親で顔は母親似といったところだろう。「俊平どこにいってたの?」相変わらずツンとした口調。「…丘…。」
恐る恐る口を開く。
「また、あそこにいっていたの?危ないからダメって言ったでしょ」
「うぅ…、う~」
泣きそうになる。
苦笑する父親。
「まぁまぁ、な、俊平、あそこすげぇキレイだもんな。今度一緒にいこうな」
なだめるが、母親がそれを許さない。
「あなたっ!!」
鋭い目で睨み付ける、もはや蛇に睨まれたカエル…。
「ご馳走さまっ」
そのまま、逃げるように自分の部屋がある二階に駆け込む。
「コラッ、まだご飯のこってるじゃない、後で作ってあげないわよ」
目で追うが、もういなかった。
「もぅ、あの子ったら…」
心配そうに俊平の座っていたイスを眺める。
最初のコメントを投稿しよう!