告白

7/12
前へ
/380ページ
次へ
美術館に到着してしばらく経った頃、蓮と里沙は美術館内にある喫茶店で休憩することにした。 喫茶店にはまばらにしか客はおらず、そのほとんどが喫煙席にいたため、禁煙席に案内してもらった2人は、他の客から少し離れる形になった。 チャンスかもしれない… そう思った里沙は、注文を済ませた後、気持ちを伝えるタイミングを見計らっていた。 先程まで見ていた絵画や学校の話など、色々と話題を見つけて話しかけてくれる蓮に答えながらも、段々緊張が高まるにつれて里沙は上手く話を繋げることが出来なくなる。 注文したアイスコーヒーとアイスティーが運ばれて来て数分経った頃、突然蓮が悲しそうな表情を浮かべた。 「今日、本当は迷惑だったかな?」 「え?」 「里沙ずっと上の空っぽいし、本当は何か他に予定あったのかなって…」 そう言って里沙から視線を外してアイスコーヒーを一口飲んだ蓮を見て、彼女は慌ててそれを否定する。 「違うよ!ごめん!私がずっと考えてたのは…!」 そこまで言って、けれどあと一歩の勇気が出ず、里沙は言葉を詰まらせてしまう。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2181人が本棚に入れています
本棚に追加