告白

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それからはお互いにしっかりと手を繋ぎ、美術館を楽しんだ。 初めは美術館の後はそのまま帰る予定だったけれど、その後も何だかお互い別れ難くて、静かなカフェで他愛もない話を延々と続けた。 そして、辺りを赤く染めていた太陽が西の空へ消え始めた頃、漸く里沙は蓮に家の前まで送ってもらった。 「ありがとう。今日はすっごく楽しかったよ!」 わざわざ車から降りてくれた、自分よりも少し背の高い蓮を見上げて少し照れながら言った里沙に、彼は嬉しそうに笑って彼女の頭に手を乗せる。 「俺もすごく楽しかったよ。こちらこそありがとう」 夕日に照らされて里沙にはよくわからないけれど、彼女の瞳に映る蓮も、少し照れているように見えた。 そう思うと嬉しくて、"蓮の彼女になれたんだ"と、里沙は改めて実感できる。 「じゃあ、また明日」 「うん。気をつけてね」 蓮の乗る車が見えなくなるまで見送った後、里沙は自分の部屋に戻って綾人にメールを打った。
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