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「姉ちゃん!」
会場に入ってすぐ、里沙の耳に聞き慣れた弟の声が聞こえた。
「緋翠ー!」
里沙は、駆け寄ってきた5つ下の仲良しの弟を思いきり抱きしめる。
「お祖父様は?」
腕の力を緩めながら、里沙は満面の笑みを浮かべている緋翠に聞いた。
「すぐ来るよ!」
その言葉に緋翠の後方を見ると、祖父がすれ違う人々と挨拶を交わしながらこちらに向かっていた。
「蓮、お祖父様に紹介してもいい?」
「もちろん。でも…緊張するな」
「お付き合いしてる人がいるのはもう伝えてるから、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
緊張で少し強張った笑顔を浮かべている蓮に、里沙は笑顔でそう言った。
そうしている間に、祖父が里沙たちの元へ辿り着く。
「里沙」
「お祖父様。ようこそ、陵南学園クリスマスパーティーへ」
笑顔で言った里沙に、祖父も嬉しそうに微笑みを向ける。
「紹介します。この前お話した、笹村蓮さんです」
「はじめまして。里沙さんとお付き合いさせていただいている、笹村蓮です」
蓮はそう言うと、綺麗に頭を下げた。
「はじめまして。里沙の祖父の繁俊(しげとし)、そして弟の緋翠です」
繁俊はそう言うと、蓮に優しい笑顔を向けた。
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