公認

12/16
前へ
/380ページ
次へ
「綾人、お疲れ様」 挨拶を終えて綾人がステージから下りると、彼が小等部5年の時に父親から「将来のお前のボディーガードになってくれる子だ」と紹介された、高等部1年の葉山凜(はやま りん)が声をかけてきた。 凜に差し出されたオレンジジュースを受け取りながら、綾人は会場内を見回す。 「ありがとう。父さんたちは?」 「旦那様に急な電話が入ったらしくて、少し遅れるって言ってた。でも、もうすぐ来ると思うよ」 「そうか」 凜の言葉に納得して近くの壁に背をついた綾人の隣に、彼も同じように背をついた。 「…里沙さん、笹村先輩と付き合い始めたんだな」 「あぁ」 何気ない風に言った凜の言葉に、綾人は一言だけ返した。 「お前がそれで良いなら俺は何も言わないけど、後悔はするなよ」 「…ちゃんと自分で考えた結果だから大丈夫だ。俺は2人の幸せを願うって決めたんだよ」 まっすぐ前を向いたまま言った綾人に、凜は何気ない風に一言だけ返す。 「そうか」 「綾人!凜君!」 突然勢い良く自分たちの名前を呼んだ、聞き慣れた声に2人が視線を向けると、互いの家族が大人数で近付いて来ていた。 「…多いな」 改めて実感したことに思わず呟いた綾人の言葉に、凜は隣で苦笑いを浮かべる。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2181人が本棚に入れています
本棚に追加