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「蓮…本当にありがとう」
泣きながらも笑顔で言った里沙に微笑むと、蓮は箱から小さい方の指輪―ペアリングを取り出し、彼女の右手の薬指に付けた。
「左でもいいかなって思ったけど、やっぱりここは将来本物を贈ったときまでお楽しみ」
そう言って少し悪戯っぽく笑んだ蓮に、里沙の心は彼に聞こえてしまうんじゃないかと思う程に騒ぎ始める。
それをごまかすように蓮から視線を逸らした里沙は、まだ箱の中にあるペアリングの片割れを手に取り、無言で彼の右手の薬指に通した。
それを見た蓮は再び嬉しそうに微笑み、里沙の頭を撫でる。
「これからもよろしく」
「こちらこそ」
そう言って微笑み合う2人の間に、穏やかな時間が流れた。
この日は、今まで生きて来た中で、里沙にとって一番幸せなクリスマスになった…
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