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隣を歩く里沙の表情を見て、綾人は心の中で溜め息を吐く。
綾人の想い人である里沙は、蓮と楽しそう…否、嬉しそうに話している。
綾人と里沙は、家が経営する会社同士の親交が深いため幼い頃から会う機会が多く、よく一緒に遊んだりもしていた。
その頃から、綾人はずっと里沙のことが好きで。
けれど、里沙は蓮を想っている。
そして、きっと蓮も里沙のことを想っているということに、綾人は気が付いていた。
自分と蓮がライバルだということはわかっているけれど、彼がすごく良い人で、綾人も人として彼のことが大好きだから、綾人は2人のことを応援していた。
2人には上手くいって欲しいけれど、2人とも奥手だから中々進展しないんだよな…
「綾人君も、一緒にどう?」
「え?」
自分の考えにふけっていた綾人は、突然話しかけてきた蓮に少し裏返った声を出した。
そんな彼に、蓮は気にすることなく再び話を繰り返す。
「明日の土曜日、里沙と一緒に美術館行くんだけど、よかったら綾人君もどうかな?」
「暇なら一緒に行こうよ」
笑顔で誘ってくる2人を交互に見て、綾人は心の中で再び溜め息をつきながらも笑顔を浮かべる。
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