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「中学まではそうでもなかったのに…」
「中学時代は、皆陰で騒いでたから綾君が気付かなかっただけだよ」
「綾人、昔は今よりもっと近寄り難かったからなぁ…」
綾人の呟きに、里沙と凜が少し苦笑いを浮かべながら言った。
「何がきっかけで少し丸くなったの?」
2人の言葉を聞き、杏子は不思議そうな表情を浮かべた。
そんなことを聞かれても変わったつもりのない綾人は、そのままをの答えを口にする。
「…さぁ?俺は別に変わったつもりはないんで…」
「蓮さんと知り合ったからじゃないか?」
「えっ?!」
綾人の代わりにサラリと答えた凜の言葉に反応したのは、綾人ではなく蓮だった。
彼は、持っていた読みかけの本を落とし、一瞬目を見開いたあと慌ててそれを否定し始める。
「いやいやっ!俺にそんな力は無いよ!というか、実際、俺何もしてないし…」
顔の前で手をパタパタさてそう言いながら落とした本を拾う蓮を見て、綾人の口から自然と言葉が零れる。
「そうかもな…」
「ちょ、綾人君までそんなこと…!」
綾人の呟きを聞いて、蓮は少し困ったような表情を浮かべた。
「里沙と凜以外で、すんなりと他人を受け入れられたのは、蓮さんが初めてですから…
蓮さんを見ていたら、他人を信じてみるのも悪くないかなって思えるんですよね」
微笑みながら蓮を見てそう言った綾人に、彼は少し照れたように頭を掻きながらも、嬉しそうに笑ってお礼の言葉を言った。
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