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「え…?」
綾人の言葉に、里沙は目を丸くして一言そう呟いた。
「里沙の気持ちなんて、とっくに気付いてるよ」
そう言って少しからかうように口元に笑みを浮かべると、彼女は顔を真っ赤にして俯く。
「だって、そんなの…もしダメだったら、今みたいに話すことも出来なくなっちゃうかもだし…
きっと、あたしの一方通行だもん。。。」
悲しそうな表情を浮かべる里沙に、綾人は真剣な眼差しで言葉を続ける。
「蓮さんはすごく良い人だし、容姿も悪くない。だから、モテないわけじゃないんだろう?
グズグズしてて、他の人に取られてもいいのか?」
綾人の言葉に、里沙は再び動きを止めた。
彼の言葉に、心当たりがあったから。
実際、蓮には隠れファンが多く、それは中等部にまで噂が広がるほどだった。
「まぁ、どうするかは自分で決めろ。でも、俺は里沙に協力するから、後悔だけはするなよ」
笑顔で里沙の頭に手を置いた綾人に、彼女は照れ臭そうに笑顔を浮かべる。
「ありがとう。綾君の方が年下なのに、相変わらずあたしの方が子供だね」
「いつものことだろう」
そう言って悪戯っぽく笑う綾にと、里沙は少し眉を寄せ、怒っているような、拗ねたような表情を見せた。
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