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春人は死んだ里穂の後を追いビルから飛び降りた。冷たくなった里穂を見たスグ後にだった。
そこで死ぬハズだった彼は運良く奇跡的に一命を取り留めた。いや…運悪くと言うべきかも知れない。 彼は里穂の元へ向かうハズだった。それなのに生き長らえてしまったのだ。
彼が何故大晦日に里穂と過ごした記憶があるのだろうか。里穂が死んだのは大晦日の前日だったのだ。里穂が生きていたとしても有り得ないのだ。里穂が春人に会いに来たのだろうか…。
いや…春人がビルから飛び降りたのは大晦日の2時だ。 何よりも春人が目を覚ましたのは里穂が死に、春人が死のうとしてから5年もの歳月が経っている。何故眠っていた春人が『昨日』などと言えるのだろうか…。
何もかもが有り得ないのだ。だが…春人の中には里穂と大晦日に過ごした記憶があるのだ。
愛が起こした奇跡なのだろうか……。
それを知るのは春人と里穂2人だけだ……。
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