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~里穂~
里穂は死んでいる人間だった。
雪の降る寒い夜中に、牛乳が切れたと言ってコンビニに行く途中、雪で視界を奪われたトラックに撥ねられて…即死だった。真っ白な雪が里穂の血で真っ赤に染まった。
オレが里穂の死を知ったのは里穂が家を出て数時間経ってからだった。
電話で里穂の居場所を聞き、急いで向かった。
里穂の体はまるで氷であるかの様に冷たく…固くなっていた。
もう里穂の笑顔も…ぬくもりも感じられない事を知るとオレはその場に泣き崩れた。
あの時コンビニに行こうとした里穂を止めなかった自分を憎んだ。 一緒に行こうとしなかった自分を憎んだ。
トラックの運転主を憎んだ。誰を憎んだ所で里穂は返ってこない。 どんなに泣いたって…どんなに里穂の名前を叫んだって里穂はもう笑い返してくれない……。
その時オレの中の何かが崩れ果てた。
里穂………………。
オレも今行くからな……………。
待ってろよ…………
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