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「ヴィゼ、手伝ってくれ」
「あいよ」
男性の声に、少女は返す。
伸ばした髪はいい加減に纏めており、その服装からも男の子と見間違うばかりだが、顔を見ればそうでもない。
だが、力仕事を当然のように引き受けたり、口の悪さなどからでは、男のようだ。
顔立ち以外はまるっきり、男の子と間違われてもおかしくないだろう。
「全く、いつになったら休憩をくれるんだい?か弱い乙女だってのにさ」
角材を運びながら、冗談ぽくヴィゼは言う。
それに、周りの男達も笑った。
「ヴィゼがか弱い?」
「まさか!」
「ありえねー」
それぞれの言葉に、ヴィゼ本人も笑って返す。
こんなことを繰り返すだけの毎日。
だが、平和で楽しい日々。
「ヴィゼさん!ヤツらが…!」
あっけなく壊されるのも、もう慣れた。
“ヤツら”が壊す程度、簡単に取り戻せる。
「またかい?懲りないねぇ」
ヴィゼは角材を近くの男に渡し、ある場所へと歩き出す。
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