刹那

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そこは、“ヤツら”の隠れ家。 村の住人の中ではヴィゼだけが知っている。 「おい、お前ら!また知らせが来たじゃないか。今度は何した?」 「…何か聞こえたか?」 「聞こえねぇなぁ、“裏切り者”の声なんてよ」 誰が聞いてもイラッときそうな言葉が耳を抜ける。 「ふんっ、裏切ったのはそっちだろ?兎に角、何したか言ってみろよ」 あくまでヴィゼは強気の口調で言う。 それもその筈。 ここに居る約20人ほどの全員をもってしても、ヴィゼに喧嘩でかなう者は居なかった。 一時は一緒に悪事を働いていたヴィゼだが、妬みから仲間外れにされてしまった。 元々身よりのないヴィゼを憐れんでいた村の住人が、彼女を拾ってくれたわけだが。 ずっと悪事を働いていたにも関わらず優しくしてくれた、その恩を返す為にヴィゼは真面目に働き、元は仲間だったこの者達の悪事を裁く役割を買って出ている。 最早村には、ヴィゼを嫌う者は居ない。 この者達を除けば…。
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