家なき子

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当然、喧嘩をして実家のアパートに帰った事もある。 大好きな祖父の身体も心配だったから、しょっちゅうアパートに帰っていた。 でも、一つ気がかりだったのが、まともな職にも就かずフラフラしている弟の事。 弟のだらしなさにも腹が立っていたが“姉心”とでもいうのだろうか。 ハタチを越えた大の大人の男が祖父と同じ部屋というのが、可哀想に思えた。 いくら家に金を入れて無いとはいえ、私がいない時くらいは私の部屋を貸してあげよう。 姉として出来る最大限の優しさだった。 でもこの優しさを弟は見事に裏切るのである。
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