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「個室の方へ移させて頂きました」
淡々と看護師は言う。
案内された個室の中には呼吸器や管を外された祖父の姿があった。
いつもと変わらない祖父の寝顔。
声をかければ今にも起きそうな安らかな顔。
「皆様が帰られてから、すぐ呼吸が止まりました。最期に皆様の顔を見られて安心されたのでしょう。午後5時14分。御臨終です」
医師が言った。
まだ、こんなに温かいのに…。
周りが涙している中、私は実感が湧かず祖父を、しばらく見つめていた。
すると祖父の指先が、わずかだが動いたように見えた。
「あっ!今指動いたよ!まだ爺さん死んでないよ!」
私がそういうと親戚達は涙声で言った。
「アンタの気持ちは分かるけど、これが現実なんだよ」
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