祖父の最期

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嘘じゃないのに。 本当に動いたのに。 呆然と祖父を見つめる私を叔母が抱き寄せ、涙ながらにこう言った。 「爺さんは頑張ったんだよ。最期は苦しまずに逝けて良かったね」 私は床へとしゃがみ込み号泣した。 今まで何人かの死に直面したけど一緒に住んでいた人が亡くなるのは初めてだった。 何とも言い表せない感情…。 それが大粒の涙となって床へと落ちる。 確実に今まで生きて来た中で一番涙を流した日だった。 一時的には治まるものの祖父との思い出が走馬灯のように甦り、また涙する。 実は祖父が亡くなってから数年が経つが今でも思い出すと涙が出る。 私にとって祖父は親よりも大切な存在なのだ。
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