ぷろろーぐ

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   まだ桜の花びらも散っていないこの季節。かたくるしい授業も六限目を迎え、疲れと睡魔がいっぺんに襲ってきた頃、生徒の話し声が絶えないこの体育館で、部活動紹介というものが始まろうとしていた。  部活動紹介とはその名の通り、この学校にある全ての部活動を一年生の為に説明する行事。まあ新入部員を入れたい部活としては、ここが一番の頑張りどころなので、そういう意味では一年生より寧ろ2.3年生の為にある行事なわけで、明日になれば、一週間限定の仮入部が始まり、色んな部活動の体験が気軽に出来るという訳だから皆に興味をもってもらうため頑張る訳である。  皆にとっては何の部活が有るのか、どんな活動をしているのか、と興味を抱き、楽しみにしているかもしれないが、こっちとしては、早く家に帰ってベッドで安らかに夢の世界に入り込みたいくらい部活なんてどうでもいい訳で、いっそのこと座ったまま寝てしまおうかと考えていたが、周りがあまりにも煩く、残念ながらその考えは頭から消えることとなった。畜生。  だがそれでも諦めずに近くにいた先生に必死に、帰りたいです、と目でアピールしてみたが、そんなものに応えてくれるはずもなく、というか気付いてすらくれなかった訳で、当たり前と言えば、当たり前なのだが、一応期待してやったものの結果的にはその行動が更に憂鬱な気分を倍加させることとなった。  はぁ…。  大きく溜め息をつく。こんなの見てるぐらいなら教室で授業を受ける方がまだマシな気がする。何でこんなのに一時間も使ってしまうのだろうか。別に全生徒が部活に入らなければならないなんて校則はないし、少なくとも一人や二人は帰宅部を希望している生徒は必ずいるだろうから、こんな部活動紹介なんて希望した生徒だけが見れば良い話だ。何故全体でやってしまうのか、何故巻き込まれなければならないのか。考えれば考える程憂鬱な気分が増していく。  はぁ…。  本日二度目の溜め息をついた頃、ようやく先生がマイクを片手に話し出した。  
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