第三章:消失の20日間

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 駅前まで来ると幸哉の家はもうすぐそこだ。 ふと見ると広場の中心に紗香が立っていた。 「待っててくれたのか?」 「うん、ちょっと待ちきれなくて♪」 「なんだそりゃ」 そのまま俺と紗香は幸哉の家に向かって歩き始めた。  「なぁ、俺が居なかった間のことなんだけどさ……」 「何? 誰からも聞いてないの?」 「ああ。まぁ」 なんか聞く気になれなかったんだよな……。 「そりゃみんな心配したよー。20日も居なくなってたんだから。」 そう言うと紗香は本当に大変だったという顔をしてみせた。 「20日?! 俺そんなに居なかったのか……」 「そうだよ! 20日前何があったか、あの…嫌じゃなかったら教えてくれる?」 紗香はそう言い終えるとうつ向いて黙ってしまった。 「いや、悪い。それが全く覚えてないんだ……」  覚えてないと答えたが、なんだか思い出したくないという気持ちもあった。 そんな話をしながら歩いているうちに幸哉の家の前まで来ていた。
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