第三章:消失の20日間

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 時刻も8時を過ぎるともう半分以上のクラスメートは帰ってしまって、幸哉の家はゴミ屋敷のように散らかった。 「それであのとき凜が「じゃあ俺も」って言ってやって見せたやつ! あれ私も出来るようになったんだよねー。」 「マジかよ!! ちょっとやってみて!!」 「今はダメ~、また今度ね♪」 俺と紗香が話していると外で雷が鳴り響いた。 「あらぁ~、急に降り出したわね…。幸哉、時間も時間だし凜君と紗香ちゃん送ってってあげなさい」 幸哉の母がそう言って傘を3本持ってきた。  「それにしても凜君、随分男前になったわねぇ♪ 昔の事故の傷痕とか全然残ってないみたいで安心したわ」 幸哉の母はそんな意味深なことを言うと俺を優しい眼差しで見つめた。 頭が少しズキッとした。 「あの、事故ってなんですか? なんか俺、忘れてるみたいで……」  俺の問いに幸哉の母は、俺が小学校6年のときに交通事故にあって、瀕死になったところを大がかりな手術をして九死に一生を得たのだと教えてくれた。 話を聞いている間中、ずっと頭が痛かった。 しかし、小学6年のときのことなら覚えていてもよさそうなものだが……。
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