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傘が高く舞って、どこかへ飛ばされていった――
金属バットが右腕に当たり鈍い音が雨に吸い込まれる。
頭をガードした結果、右腕を犠牲にする貌(カタチ)になったのだった。
「幸哉、紗香を安全な場所に連れてって手当てしてあげてくれ……」
俺は残った左手でバットを振るった不良グルーブの下っ派の首を掴んだ。
そのままそいつを持ち上げて、コンクリートのブロック塀に叩き付けた。
骨の折れる音と痛みに呻くその声がこの場を支配した。
事の発端は幸哉の家からの帰り道でのことだった。
紗香の傘が強風に煽られバイクに乗っていた不良グルーブの1人に当たり転倒させたことで絡まれ、今に至る。
バイクに乗っている時に雨に合い、機嫌が悪くなってたせいも相まって彼らはすぐに暴力行為に及んだ。
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