森ヵ淵大学

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森ヵ淵大学

カーテンの隙間から差す太陽の光の熱と小鳥のさえずりでワタシの意識は覚醒した。 体を起こし寝床に座る。 何時もならベッドの上にいるはずが今朝は床にいる。何時もなら日光ではなく目覚ましで目を覚ます。 それもこれも、コイツのせい。超ロングの金髪に細く整った眉、大きな目に長いまつ毛、筋の通った鼻、小さな口、それらを携えた顔は小さく白く透き通った肌、スレンダーな体格。一見では綺麗な女性だが、その正体は知れず。本人曰く『カタチがない』だそうだ。事実、拾ってきた時の容姿は小動物だった。 「こうやってると普通の人に見えるよね~」 昨晩、あの後キンコと名乗ったコイツはワタシからベッドを強奪し早々に就寝。何をしても起きはせずベッドから下ろそうにも動かずと、結局ワタシは床で寝る始末。そして朝には日差しで起こされ何時もより一時間も早く目を覚ましてしまった。で、ワタシからベッドを強奪した当人はというと、昨夜は暑かったのか掛け布団を払い除け、服ははだけワタシの抱き枕に手足共にしっかりと抱きつき眠っている。その寝顔は無垢で愛らしさも感じられた。 「あ、コイツが着てるのワタシの服だ」 今頃気付いた。
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