春影に消ゆ

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春影に消ゆ

光があれば闇もある。 楽しいことばかりじゃない。 強い人間だって弱点はある。 迷えば誰もが弱い。   右の耳から入る雑音は消化されず左の耳へ。 頭を抱えて、膝を落として、時間を無駄に使う。   入口を閉ざされた迷路の中で戻ることは許されない。 出口を探して歩くことが唯一の道であり救いでもある。   軽い人間は嫌われ、重い人間も嫌われる。 人は人を好きになる。   信じることは裏切られることに繋がり、裏切ることは信じられていた事実に繋がる。 人と人は繋がっている。   からっぽな胸に残っている細かく鋭利な思い出は、打ち砕かれたまま消えない。 決して朽ちない。   咲いた桜に無感情な四月。 晴天もドス黒く映る四月。   落ちる。落ちる。落ちる。 少し揺れて、また落ちる。   昨日は振り返らない。 明日は考えない。 答えはきっともう出ているから。   涙は流さない。 弱さは主張しない。 明確に求めるものは無い。 ただ、知っていてほしい。 忘れないでほしい。 存在だけは。   希望を捧げた代償に絶望を与えられた。 今は痛くても、いつか小さな過去になる。 消えなくとも見えない小さな傷になる。   今の自分と現実を越えて。   最後に残すはお別れを。image=213481288.jpg
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