黒い螺旋雲に巻かれて

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黒い螺旋雲に巻かれて

風鈴の音がただ響いていた 壊れた意味も聞こえない 思い残すことが無い様に あの黒渦に投げ捨てた宿命   震える手では窓も開けられず 光を見る勇気が無くて 解放の朝を待ち続けていた 何も変わらぬ循環の太陽   あぁ 知らなかったんだ 空がこんなにも綺麗だったなんて ただ 願っていたんだ 夜がこんなにも寒すぎるなら 暖かいぬくもりの中へ…   静寂な夜は混沌を望んでいた 何よりひとりで生きることが出来なかった   枯れるより辛いこと 咲くことも許されないから 両親の愛をもう一度噛みしめて でも 答えは変わらずに…   あぁ 知らなかったんだ 空がこんなにも綺麗だったなんて ただ 願っていたんだ 夜がこんなにも寒すぎるなら 暖かいぬくもりの中へ…   誰にも気付かれず冷たくなったウサギ 今 静かに瞼を閉じた   曖昧な記憶を辿っても辿っても 大切なものは見付からず   もう誰の顔も思い出せない もう誰も…何も…   「せめて最後は永遠なる空へ…」image=47764159.jpg
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