1.係決め

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6月は忙しい。 月末から野球の大会が始まるのに7月初旬には学祭がある。 我、野球部は部員数はぎりぎりしかいないくせに練習量は強豪校並。 それに加え、学祭では学級発表、北海道の高校らしくよさこいまで披露しなければならない。 正直な話、学祭はめんどくさい。 上辺だけの仲良さで普段は当たり障りのない関係を保っているやつらが感動物語を作るために「期間限定」でケンカしたり、団結したりする。 大人な子ども。 子どもな大人。 裏表があるのは野球だけで十分だ。 学祭の係決め。 何でもいいや…。 人数合わせで学級旗係。 まぁ、絵的センスは0なんですけど。 よさこいの衣装係リーダーに理恵が。 こいつってこんなに積極的なヤツだっけ? 理恵と仲良くなったのは最近だ。 新年度になり、仲良くなった友だちの親友が理恵。 顔を合わせる機会が増え、話してみると趣味や好きな音楽が意外にも一緒だったりした。 俺は理恵に嫌われていると思っていた。 入学直後に教室で男友だちと紙を丸めてキャッチボールしていたら理恵に当たって睨まれたからだ。 投げたのは俺じゃなかったのになぁ…。 係決め直後の休み時間。 「何で責任者?」 「去年の衣裳が納得いかないから。」 シンプルだ。 理恵らしいや。 「頑張れよ?」 「あんま頑張んないよ。」 嘘だ。 きっと頑張り過ぎちゃうんだろうな。
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