0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
6月中旬。
大会が近付き、学祭の練習なんかどうでもいい。
授業だって抜け出して素振りしたいぐらいだ。
でも、みんなの頭の中は学祭だらけ。
中には違うやつもいるだろうが無理矢理、雰囲気を合わせている。
そんな教室に居心地の悪さを感じた俺は一人で廊下に座っていた。
「何か面白い話して。」
眼の下にくまを蓄え、明らかに疲労困憊の理恵が立っていた。
昨日、よさこいの振り付け係と話し合った結果、出来ていた衣裳の原案を徹夜で練り直したらしい。
う~ん、やっぱ頑張り過ぎてるじゃんか。
俺のオチがなく、面白くもない『ナイナイ話』で笑う理恵を見て何とか一安心。
もしかして笑いのツボがおかしいのかな??
キンコーン、カンコーン…
授業開始のチャイム。
「…あっ!あのさ、いつでも気分転換につまんねぇ話するからな。」
とっさに口から出た。
「ありがとう。」
それから廊下の突き当たりは2人の『指定席』になった。
最初のコメントを投稿しよう!