2.指定席

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6月中旬。 大会が近付き、学祭の練習なんかどうでもいい。 授業だって抜け出して素振りしたいぐらいだ。 でも、みんなの頭の中は学祭だらけ。 中には違うやつもいるだろうが無理矢理、雰囲気を合わせている。 そんな教室に居心地の悪さを感じた俺は一人で廊下に座っていた。 「何か面白い話して。」 眼の下にくまを蓄え、明らかに疲労困憊の理恵が立っていた。 昨日、よさこいの振り付け係と話し合った結果、出来ていた衣裳の原案を徹夜で練り直したらしい。 う~ん、やっぱ頑張り過ぎてるじゃんか。 俺のオチがなく、面白くもない『ナイナイ話』で笑う理恵を見て何とか一安心。 もしかして笑いのツボがおかしいのかな?? キンコーン、カンコーン… 授業開始のチャイム。 「…あっ!あのさ、いつでも気分転換につまんねぇ話するからな。」 とっさに口から出た。 「ありがとう。」 それから廊下の突き当たりは2人の『指定席』になった。
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