ー友ー

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「胡月…」 傘をさしかける幻月 「幻月…」 「なんて顔してるんだ、男前が台なしだな」 「フッ」 「風邪ひくぞ」 「幻月…」 突然、幻月に抱き着き、強く抱きしめる 傘が手から離れ、地面に転がる 「モテる男は辛いな」 「ああ…モテすぎだ」 強がりを言う胡月を見て、寂しそうに笑う 優しく胡月を抱きしめながら言う 「俺は、胡月についていくつもりだけど、仲間を裏切る事は出来ないんだ…お前を敵にはしたくない」 「わかってる…お前を裏切る事はしない」 「うん」 「仲間も裏切ったりはしないから…」 「わかってるよ」 「うん」 「胡月は見えない優しさがあるからな」 「それはお前にしかわからないだろ?」 「まぁね…」 「大丈夫…俺にとって大切な物はちゃんと見えているから」 「そうか」 二人共、雨に打たれながら、木蓮の下でいつまでも抱き合う 冷え切った体に伝わる温かさこそが、守るべきものなのだと… 「幻月…お前を好きになってよかった」 「俺もだよ、胡月」 「フッ」 胡月の力が一気に抜け、体重が幻月にのしかかる 「胡月?」 雨に打たれた胡月は、顔色が悪く、呼吸が早い 額に手をあて、熱を確認する 「馬鹿野郎…すごい熱だしてんじゃねぇよ」 胡月を抱き上げ、部屋に運んだ 服を脱がせ、体を拭く 「こんなに冷え切って」 氷のように冷たい体 幻月も服を脱ぎ、胡月を抱きしめて体を暖める 「お前に死なれたら俺は気が狂うぞ…」 幻月は朝まで、胡月を抱きしめていた 胡月の熱も下がりかけていた
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