ー友ー

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昨日の雨が嘘のような、晴天だった 雨の雫が木蓮を美しく輝かせていた 「朝…?」 胡月の目が覚めた 「幻月…何故裸で?」 しばらく考え、ようやく昨日の記憶にたどり着いた 「そうか…俺、気を失ったんだ」 と言うことは… 幻月が部屋まで俺を運んで、体を暖めてくれたのか… 夢かと思ってた 夢の中で、幻月が心配そうに声をかけて、抱きしめてくれていたのは… 現実だったんだ 「?」 幻月の様子がおかしい 「幻月?」 呼吸が早い 眠っているのではなく、苦しんでいたのか? 「待ってろ」 急いで、紅月を呼びに行く 「紅月、幻月は?」 「お前達、昨日何時間雨に打たれたんだ」 紅月は呆れながら言う 「大丈夫だよ、疲れたんだろな」 「幻月…」 「こいつは、こう見えても、人一倍考え込む奴だから…考え過ぎて神経が参ったんだろう」 「俺のせいだ」 「誰のせいでもない」 「俺が追い込んでしまった」 「胡月…今は幻月の傍にいてやれ…考えるのはその後にしろ」 「わかったよ」 「じゃ、行くぞ」 「ありがとう」 紅月は頷きながら、部屋を出て行った 「幻月…お前、そんなに考え込んでいたのか?」 手を握りながら、幻月を見つめる 「馬鹿だな…信じてるんじゃないのかよ…」 きっと、夜魅の事も我慢していたのかもな 俺だって、幻月が他の奴に想われてたりしたら、心配でおかしくなってしまうかも知れない 信じてるけど そうだ 悔しいんだ… 「我慢しすぎだ…」 眠る幻月を見ながら、悲しそうに呟いた
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